牛肉のお役立ち情報

牛肉の基礎知識

牛肉はなぜ豚や鶏より高いのか？

１　生まれてからお肉になるまで時間がかかる！

豚は通常７〜８ヶ月齢、鶏（ブロイラー）は５０日前後で出荷できるのに対し、牛は２８〜３０ヶ月齢かかります。

２　飼料効率が悪い

お肉１kg の生産に必要な飼料を比較すると、豚は３〜３．５kg、鶏が２〜２．５kg であるのに対し、牛は１０〜１１kgです。

ちなみに、豪州の場合、牧草肥育が中心であるため、牛の自然放牧が可能。そのため、低コストで出荷できます。日本では少なくともこれまで、サシの入った柔らかくとろけるようなお肉が高級とされてきたことから、放牧は極めて少数であり、輸入穀物を原料とする配合飼料に依存してきました。為替の変動や輸入穀物の国際価格など、畜産農家がコントロールできない要素でコストが決まる割合が高く、今後の大きな課題です。

このサイトでも既に紹介しましたが、出荷するまでの時間を短縮する試みとしては、十勝若牛が挙げられます。月齢１４ヶ月での出荷です。また、できるだけ輸入飼料に頼らずに育てる試みもなされています。短角牛（いわて短角牛、えりも短角牛など）や熊本和牛あか牛、菊池農場の健康あか牛などコストを抑え、消費者の健康にも配慮した取り組み。酪農家の挑戦は続きます。

和牛肉と輸入牛肉ってどう違うの？

栄養素という点から見て、和牛肉及び輸入牛肉のヒレとばらについて、当サイト運営者が五訂増補日本食品標準成分表より、主要な栄養素を抜き出して比較表を作成したので、参照して欲しい。実は栄養素という点だけで比較すれば、（同じ「牛」なので、当たり前かもしれないが）大差はない。むしろ輸入牛肉の方がカロリーが抑えめな分、和牛肉は味、舌触り、風味など他の要素で勝負するより他ないと感じられたのかもしれない。

牛肉の格付けってどうやって決まるの？

（社）日本食肉格付協会が格付を行っていますが、これは取引をする場合の目安です。したがって、格付けが高いければ、競りで必ず高値がつくというものではありません。肉質、脂質等、全体的なバランスで値が決まるのであり、一頭一頭違うということです。

格付けに際しては２つの等級、すなわち歩留（ブド）まり等級と肉質等級が使われます。歩留まり等級はA、B、Cの３段階でAが最も良く、肉質等級は５、４、３、２、１の５段階に分かれ、５が最上等級です。

◎歩留まり等級

血、皮、頭部、内臓、四肢の先端などを取り去った骨付きの肉を枝肉（エダニク）といいます。このとき一頭の牛から取れる枝肉の割合が大きいほど等級が高くなります。つまり同じ体重の牛でもたくさんの肉が取れる方が等級が高いのです。歩留等級はあくまで１頭からどれだけ効率よくお肉が取れるかどうかなので、消費者にとってほとんど意味はありません。

◎肉質等級

評価項目は「脂肪交雑」、「肉の色沢」、「肉のしまりときめ」、「脂肪の色沢と質」の４つです。それぞれを５段階で評価して、その中で最も低い評価が使われます。ですから、他の３項目全て５等級であっても、例えば、肉の色沢が４等級と判断されれば、そのお肉の肉質等級は４となります。

それぞれの項目は何を表しているのでしょうか。最初に「脂肪交雑」ですが、これは霜降の度合いです。 BMS（ビーフ・マーブリング・スタンダード）という判定基準があり、これによって評価されます。
「肉の色沢」は肉の色と光沢を判断します。「脂肪交雑」と同様に、肉の色にはBCS（ビーフ・カラー・スタンダード）という判定基準が設けられています。一般的に鮮鮭色が良いとされています。また光沢については見た目で評価されています。「肉のしまりときめ」も見た目で評価されます。一般に肉のきめが細かいと食感が柔らかいと言われています。最後に「脂肪の色沢と質」ですが、まず色が白またはクリーム色かどうかを基準に判定され、さらに光沢と質を考慮して評価されます。

お気づきの通り、格付けの評価に際して「おいしさ」を評価する項目は全くありません。牛肉のおいしさを科学的に分析し、数値化する試みもなされていますが、まだ十分なレベルに到達していません。