赤身は本当に固いのか?
さっと炙るだけで脂が滴り落ちるのが霜降り。確かにとろけるように柔らかい。逆に赤身は焼くと固くなるという印象があります。赤身肉を柔らかく食べる方法はないものだろうか?
→あります。
そもそもお肉はどうして固くなるのか?
その原因は温度にあります。少し詳しくお話しすると、まず、お肉、特に赤身は筋肉ですが、それは水とタンパク質が主成分です。タンパク質は大きく分けて次の3つです。
- ミオシン
- コラーゲン
- アクチン
ちなみに、生肉の段階ではミオシンとアクチンは柔らかく、コラーゲンは硬いのです。それが熱を加えることにより、三者三様の変化を遂げます。
- ミオシンは50度で収縮開始。この結果、生肉のグニャという食感から、弾性があり歯切れのよい食感へと変化するのです。
- コラーゲンは56度で変性を開始し、硬質のゴムのような食感からゼラチンのような柔らかな食感へと変わっていきます。
- 真っ赤だったお肉も60度でほんのりとしたピンク色に変わっていきます。
- アクチンは65.5度で収縮を始めます。アクチンは水分を多量に含んでいる(赤身肉の重量の50−70%は水分!)ので、収縮により、水分(いわゆる「肉汁」)を外に絞り出す格好になります。したがって、例えば、75度で焼いたお肉は生肉の状態と比較し、はっきりと分かる程度に軽くなります。
これで、高温で焼いたお肉が硬くなる仕組みがお分かりいただけたと思います。つまり、「お肉は60−65度で焼くのが良い」という結論になります。
美味しい赤身肉の焼き方
以上の理論を家庭のキッチンで実践するには、
◎冷蔵庫からお肉を取り出し、30分〜1時間ほど室温に置いておく(お肉の中心まで完全に室温に戻す!)
◎フライパンに油を引き、30秒ほど中火で熱する
◎お肉を焼き始め、肉汁が出てきたところでひっくり返す。(*肉汁が自然に出てくるまで待つ)
◎肉汁が出てきたら焼き終了。
◎なお、焼いたばかりのお肉は内部で肉汁が暴れている状態です。ホイルに包んで5分間、お肉を休ませて下さい。肉汁と旨みが閉じ込められた逸品をお口にすることができます!
*牛肉は塩胡椒した瞬間から硬くなります。焼き目を付けてから味付けすると良いそうです。
論より証拠、まずは硬い印象のある輸入牛肉でお試しあれ!
日本の消費者はとても舌が肥えているので、外国の生産者も日本人の好みに合う牛肉を日本市場に投入している。とても良い例がニュージーランドです。かの国は人口が500万人足らず(日本の約25分の1)、面積が26万8千平方キロメートル(日本の約7割)ということで、自然環境に恵まれ、牛本来の食事である牧草をふんだんに食している健康牛が育つ国です。
その牧草牛の一番美味しいヒレ肉を30日間氷点熟成にかけてじっくりと旨味を引き出したシャトーブリアン。しかも価格もとてもお手ごろです。下の写真をクリックしていただければ、購入できますので、是非「赤身をおいしく」を実践してみてください。