「消費者が本当に欲しいものは何か。」消費材やサービスを提供する者全員に共通する永遠のテーマかもしれない。

「安全・安心=国産」、「A5等級=最高級」、「松坂牛、近江牛、神戸牛などのブランド化戦略」こうした動きを見ていると、とても心配になる。要するに、ターゲットが日本市場のみなのである。

ソニーやパナソニックはかつてエレクトロニクスの分野で世界を席巻した。だが今は国内の携帯、モバイル端末市場ですら外国勢の前に見る影もない。どうしてか?国内市場の取り合いのために消耗戦を闘い、疲れきったところにiPhone、Galaxy など斬新なデザインが入ってきて日本の消費者の心を奪ってしまったのではなかろうか。

基本的な事実を押さえておきたい。日本の人口は1億2700万人である。世界の人口は74億。日本は人口で2%にも満たない。お隣中国だけでも日本の10倍以上の人口を抱えている。ASEAN諸国だって合わせれば日本の5倍である。しかも、これから世界の人口は伸びて行くのに対し、日本は人口減少時代に既に突入しており、そのスピードは年々加速している。海外市場に活路を見出すという発想が必要ではないか?

海外に打って出る一つの方法はブランド化であろう。だが、その際注意しておきたいことがある。日本国内では外食で高級牛を食べる時に我々は往々にして「松坂牛ってやっぱり美味しいね。」「今日のレストランでは山形牛が食べられるよ。」という風にお肉のブランドによる差別化が図られている。ところが例えば米国では、Peter Lugers、Walfgang、Ruthchris、Roy’s、Benjamin などなど、「超有名ステーキハウス」がまずあって、そこでは、お肉の銘柄へのこだわりのみならず、合わせるワイン、焼き方(家庭では到底出せない高温のオーブン使用など)、熟成のさせ方、独特の付け合わせ、ソースといったトータルなお肉のプレゼンテーションが行われている。マーケットによって攻略方法は異なるであろうが、「アメリカ産の安い(そして品質は国産銘柄牛に劣る)牛肉に国内市場を席巻されるのでは?」という姿勢ではなく、「人口は日本の3倍弱、一人当たりGDPは日本の1.5倍」のアメリカ市場を狙ってみてはどうだろうか。

ついでに、これはうまく行くかどうか分からないが、例えば、和牛に合う日本酒や日本産のワインも合わせて提案してみてもよい。焼き方、味付け、付け合わせなど米国人の舌と相談しながら「米国市場に『超有名なステーキハウス』があって、そこでは和牛が食べられる。」という話題がNYの街角で聞かれるようになる日を楽しみにしたい。