意外に知られていない日本の「牛」の実態
「牛」と言えば、松阪牛、神戸牛、米沢牛などを思い出す人も多いでしょう。百貨店やスーパーなどではブランド名を前面に出して販売されています。これらは牛種で言えば全て黒毛和牛(黒毛和種)です。そして黒毛和牛は4種ある「和牛」のうち圧倒的多数(9割以上)を占めています。
一方、「国産牛」として売られているものもありますね。そのほとんどは本来乳牛であるところの「ホルスタイン種」の雄牛、あるいは乳牛としての役割を終えた雌牛、和牛とホルスタインの交雑牛、さらには日本で3ヶ月以上肥育された外国産の牛です。
日本国内の消費牛肉の内訳は
*熊本県畜産農業協同組合連合会ホームページより抜粋。
なお、日本短各種及び無角和牛は極めて頭数が少ないため表示されていない。
少数精鋭の和牛:褐色和牛と日本短角牛
このサイトで紹介するのは、「和牛」のうち、生産量では圧倒的に少数派でありながら、昨今の健康意識の高まりを受けて急速にその価値が見直されつつある牛種、すなわち、褐毛和牛、日本短角牛です。これらは霜降り(サシ)を特徴とする黒毛和牛とは異なり、適度な脂肪分を含んだ赤身が中心であり、旨みと柔らかさを兼ね備えた肉質を誇っています。さらに、寒さや暑さへの耐性が強く、放牧に適していることから、牧草を食べ、大自然の中で伸びやかに育ちます。(ちなみに、残りの1種は無角和牛ですが、生産量が非常に限られるため、このサイトでは割愛させていただきます。)
日本の畜産業は大きな過渡期を迎えています。従事する人々の高齢化、外国産牛肉との競争の激化、そして日本人の健康意識の高まりとし好の変化に対応して行かなければなりません。このような状況の中、俄然注目を浴び始めたのが赤身肉です。ブランドをご紹介する前に「赤身を食せずして本当の牛肉通とは言えない。」という言葉でこのページを締めくくりたいと思います。